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成分研究

深海鮫肝油

概要

ヘミングウェイの著書である「老人と海」の中で、主人公の老人が鮫の肝油をコップで一気に飲み干し、「わしの元気の源は、毎日飲むこの一杯だ。これで風邪もひかない」と語るシーンがあります。鮫の肝油は、古くから、厳しい環境と戦う漁師たちにとっては最高の健康保持食品でした。

肝油は、古くから免疫を強化することや外用で感染を防ぐことが知られていました。近年では、肝油の有効性が科学的に明らかになり、現代のストレス社会においても非常に有用な健康食品として世界中の人々に愛されています。

歴史

18世紀にノルウェーの漁師が深海鮫の肝油が傷の修復に効くことを発見しました。しかし、その後19世紀前半までに、鮫肝油はスカンジナビアの漁師たちを除き、忘れ去られてしまいました。1922年、二人の日本人化学者による有効成分アルコキシルグリセロールが発見され、鮫肝油は再び脚光を浴びることになりました。さらに、1930年この分子の合成が成功し、さまざまな治療に利用されるようになりました。1960年代に入りスウェーデンの研究者HallgrenとLarssonによる鮫肝油の具体的な 研究が進められました。その後も研究者たちによって鮫肝油の研究は続けられ、今日に至っています。

成分とその作用機序

深海鮫肝油にはアルコキシグリセロール、n-3系脂肪酸、スクアラミンやその他のアミノステロール、ビタミンAおよびビタミンDが含まれています。各成分、特に主な活性成分であるスクアレンとアルコキシグリセロールの含有量は、鮫の種や生息域(海域およびその深さ)によって大きく異なります。それぞれの生理作用を得るために、各成分がバランス良く含まれた深海鮫肝油(スクアレン40~50%、アルコキシグリセロール10~15%、DAGE 30~40%くらい)を摂取することをお勧めします。

スクアレン

1916年、日本の辻本博士が鮫肝油中から発見した天然化合物です。スクアレンは、性ホルモンやコレステロールといったステロイド化合物の前駆物質として人間の肝臓でも生合成されますが、その生産量は加齢とともに減少します。すでに多くの生物活性が科学的に証明されており、サプリメントとしても人気の高い成分の1つです。

スクアレンは分子内に2重結合を6つ持つ不飽和炭化水素であるため酸素と結合しやすく、体内の組織に酸素を補給して細胞の新陳代謝を高めます。この酸素補給能力は、多くの疾病治療において重要な意味を持ちます。例えばガンでは細胞の活性化・修復の促進に、皮膚に傷がある場合は肉芽形成の促進につながります。また、リンパ球・マクロファージといった免疫細胞の活性化を通して免疫を高める効果が明らかになっています。その他、病原菌の殺菌作用、皮膚への浸透性および保湿効果なども知られています。

アルコキシグリセロール

グリセロール(グリセリン)に、2つのアシル基、1つのアルキル基を有した中性脂肪をジアシルグリセリルエーテル(DAGE)と呼び、DAGEから2つのアシル基が脱離したものをアルコキシグリセロール(またはアルキルグリセロール)と呼びます。これらの中性脂質はヒト体内では骨髄や母乳中に存在しますが、自然界で最も豊富に含んでいるのは深海鮫肝油です。

アルコキシグリセロールは優れた免疫調節機能を持っています。感染やガンと戦うために必要な白血球や血小板を増加させたり、マクロファージを活性化して貪食能を高めたりして、免疫を強化します。白血球減少症・血小板減少症の予防や、放射線治療による副作用の低減にも効果があります。さらに、腫瘍細胞の増殖や転移の抑制効果も明らかにされており、ガン患者に投与したところ、進行の遅延や死亡率が減少したという報告もあります。

n-3系脂肪酸

二重結合を2つ以上持つ多価不飽和脂肪酸のうち、メチル末端から数えて最初に存在する二重結合が3つ目と4つ目の炭素間にあるものをn-3系脂肪酸といいます。代表的なn-3系脂肪酸には、α-リノレン酸、EPA、DHAなどがあります。また、6つ目と7つ目の炭素間に最初の二重結合があるものをn-6系脂肪酸といいます。代表的なn-6系脂肪酸には、γ-リノレン酸、リノール酸、アラキドン酸などがあります。脂肪酸中に存在する二重結合数が4つ以上のものを高度不飽和脂肪酸と呼ぶ場合もあります。

n-3系脂肪酸は、体内で炎症をおこす物質(プロスタグランジンやロイコトリエン)の生成を抑え、抗炎症作用を示します。炎症によってもたらされる疾患(関節炎、感染、その他多くの炎症性皮膚病、アレルギー性呼吸器系皮膚障害など)を、心臓、血管、リンパ管などの循環器系の健康状態を改善することにより治癒することが明らかになっています。血中の中性脂肪(トリグリセリド)減少作用、抗血小板作用があるため、高脂血症と動脈硬化に効果があります。(EPAは日本で保険適用されています。)EPAはヒト体内で合成されず、またDHAはごく少量産生されるのみなので、食事補給の欠かせない成分です。

スクアラミン

1993年にドッグフィッシュ・シャーク(学術名Squalus acathias)という種類の鮫の体内から初めて発見された化合物です。スクアラミンの化学構造は全く新しいもので、アミノステロール(aminosterol)と名付けられました。ヒトにとって有益な作用をいくつか持っていることがわかっており、現在、その有効性と安全性を確かめる臨床試験が進められています。

スクアラミンの主な効果としては、血管新生抑制作用が挙げられます。血管新生とは、通常の血管から新しい血管が枝状に伸びて作られる現象です。疾患によっては病状を悪化させる原因となるため、これをいかに抑制するかは治療上とても大事なことです。スクアラミンはこの血管新生を抑制し、卵巣、脳、肺などの固形腫瘍の成長を抑えることが実験によりわかっています。同じく血管新生が関わっている加齢性黄斑変性や網膜症といった眼疾患においては、視力回復効果が期待されています。

また、スクアラミンは幅広い種類の細菌・真菌に対して有効な、優れた抗生物質でもあります。標的となる菌に結合して細胞膜を破壊し、殺菌作用を現します。私達の体にもともと備わっている免疫(先天性免疫)と同じような役割を果たします。

血管新生抑制の詳細はこちら

その他のアミノステロール

深海鮫肝油にはスクアラミン以外のアミノステロールが数種類含まれていますが、その中の1つの物質には抗肥満作用があると報告されています。脳の視床下部に働いて食欲を抑え、体重を減らす効果があるようです。スクアラミンより強力な抗菌活性を示すものもあると言われています。

期待される効果

  • 免疫力賦活作用(風邪・インフルエンザ・単純ヘルペス(口唇ヘルペス)などの予防)
  • リウマチや関節炎などに対する自然抵抗力を獲得
  • 皮膚炎における症状や痛みの緩和
  • 放射線によるダメージから体を保護(特に白血球の再生作用)
  • ガン患者の健康な細胞を強化、化学療法中の副作用の軽減
  • 糖尿病患者の代謝正常化

副作用・ご注意

  • 製品によってはビタミンAが多量に含まれています。ビタミンAの過剰摂取により、 頭痛・吐き気・眠気などをもたらすことがありますので、過剰摂取は避けてください。
  • 妊婦の方は医師または薬剤師にご相談ください。
  • 30日以上の使用は医師にご相談ください。

参考文献

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  2. An update on the therapeutic role of alkylglycerols
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